今週の日経平均は、大きく下げたかと思えばすべて戻す(あるいはその逆)という、いわゆる「いってこい」が頻発する相場でした。 市場が次にどちらへ行くか、極度に迷っている証拠です。
こういう相場で最も危険なのは、方向性を当てにいこうとして振り回され、精神的に消耗することです。
私が重視するのは、精神的なQOLを保ちながら、この「迷い(=ボラティリティ)」をどう戦略的に利用するか。 今日の市場で、どの戦略が有効で、どれが機能しなかったのか。私が「最適解」を探求した今週の思考プロセスを記録します。
今週の戦略レビュー
まず注目したのは「市場の恐怖心(IV)」の動きです。
- 事実①: 下落時、IVは大きく盛り上がった。
- 事実②: リバウンド時、IVは一気に剥げた(低下した)。
このデータから、私は「短期(期近)のプットは、よほどのことがない限り盛り上がりにくく、下げても剥げやすい(=下落保険料が上がりにくい)」と判断しました。
大幅に盛るためにはおそらく49000を大きく割らないといけません。とはいえ、可能性も否定はできないのですがこのあたりはいつも悩みます。
この前提で、今週機能した(しなかった)戦略をレビューします。
- コールバックスプレッド 全体としてコールのIVが大きく盛り上がっていたため、先物が戻してコールのIVが下がってきていれば「コールバックスプレッド」 を狙う戦略は、比較的安全に利益を狙える有効な手法だったようです。
- カレンダースプレッド ガンマ(価格変動リスク)を抑える「カレンダースプレッド」 は比較的耐えましたが、これだけ変動が続くと、やはり下落への手当(ヘッジ)が別途必要になります。
- ベアシンセ 「暴落」には強い「ベアシンセ」ですが、今回のような「じわじわ下げて、リバウンド」する展開では、先物部分の損失に耐えきれず損切り(ふるい落とされる)リスクがあり、苦戦しました。(※なぜこの戦略が「じわじわ下げ」に弱いかは、リンク先の記事でも詳しく解説しています)
私が選んだアプローチ
この状況で私が有効だと判断し、実行したのは「リバースカレンダー」です。
- 理由: 夜間に短期(期近)プットのIVが大きく剥げた(=市場が油断した)のを見て、そのヘッジ(保険)として組み込みました。
- 結果: この戦略は夜間の大きなリバウンドで一部利益を確定でき、今回の「いってこい」相場に対する一つの「最適解」だったようです。
(※一方で、コールカレンダーに対しては先物ショートでのデルタ調整が良かったかもしれませんが、今回はベアシンセ運用と兼ねていたため、ここは反省点です)
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今週の“最適解”サマリー
「いってこい」の迷い相場から学んだ本日の“最適解”は、以下です。
- 「じわじわ下げ」は「ベアシンセ」が苦戦する。(暴落とは別物と認識する)
- 市場の「油断(IVの剥げ)」を見逃さない。(今回「リバースカレンダー」が有効だった理由)
- 一つの戦略に固執しない。 常に市場の「問い」に対し、複数の戦略を比較検討し続けることが、資産とQOLを保つ鍵である。
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この記事で触れた戦略の基本については、以下の記事で詳しく解説しています。
