【超入門】インプライド・ボラティリティとは?3分でわかる意味とPythonを使った計算方法

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「インプライド・ボラティリティ(IV)ってよく聞くけど、一体何?」 「計算が難しいって本当?」

オプション取引を始めると、必ず出会うこの「IV」という言葉。市場の将来予測を示す重要な指標だと分かっていても、その計算方法や活用法については、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたのために、以下の内容を徹底的にやさしく解説します。

  • インプライド・ボラティリティ(IV)の本当の意味
  • なぜIVが投資判断で重要なのか(具体的な活用シーン)
  • ブラック・ショールズ・モデルの数式と、その中身
  • コピペで動く!Pythonを使ったIVの具体的な計算手順

数式が苦手な方でも理解できるよう、図解や例え話を交えながら進めていきます。この記事を読み終える頃には、あなたもIVを使いこなし、市場心理を読み解くための一歩を踏み出せるはずです。

目次

インプライドボラティリティ(IV)とは?市場の恐怖心がわかる

インプライド・ボラティリティ(Implied Volatility, IV)とは、将来の価格変動率を市場がどのように予想しているかを表す指標です。

これは、オプションの市場価格に織り込まれている「期待」や「不安」を逆算して数値化したもので、市場参加者の心理状態を映す鏡とも言えます。

  • IVが高い:「これから価格が大きく動きそうだ!」と市場が荒れ模様を予測している状態。(=オプション価格は高くなる)
  • IVが低い:「しばらくは落ち着いた値動きだろう」と市場が凪(なぎ)を予測している状態。(=オプション価格は安くなる)

ちょうど、天気予報の「降水確率」に似ています。降水確率が高いと傘を持っていくように、IVが高いときは相場の急変に備える、といった判断ができるのです。

なぜIVが重要?オプション取引での具体的な使い方

Vを理解すると、主に2つのメリットがあります。

  1. オプションの「割安・割高」が判断できる IVはオプション価格に直接影響します。つまり、現在のIVが過去の平均的なIV(ヒストリカル・ボラティリティ)と比べて高いのか安いのかを知ることで、そのオプションが「割高」なのか「割安」なのかを判断する材料になります。
  1. 市場の「恐怖心」がわかる 一般的に、株価が急落する局面では、投資家の不安心理からIVは急上昇する傾向があります。「恐怖指数」として知られるVIX指数も、このIVを元に算出されています。IVの動きを見ることで、市場全体のセンチメントを把握できるのです。

IVはどうやって計算するのか?ブラック・ショールズ・モデルからの逆算

IVは、オプションの価格設定モデルである「ブラック・ショールズ・モデル(BSモデル)」を使って、オプションの市場価格から逆算して求められます。

  1. 必要なデータの収集:
    • 現在のオプション価格
    • 原資産価格
    • 権利行使価格
    • 満期までの時間
    • 無リスク金利
    • 配当利回り(ある場合)
  2. ブラック-ショールズ方程式の適用: ブラック-ショールズ方程式を使用して、オプション価格と市場データからIVを逆算します。具体的には、オプション価格を方程式に代入し、数値解析法(例えば二分法やニュートン-ラプソン法)を用いて、IVを逆算して求めます​。

ブラック・ショールズ式の概要(Call option)

ブラック・ショールズ方程式

この式の中のσ(シグマ)がボラティリティです。インプライド・ボラティリティの計算では、このσ以外のすべての変数と、市場で決まったオプション価格Cを使って、方程式を満たすσを数値解析的に見つけ出すのです

【実践】Pythonでインプライド・ボラティリティを計算してみよう

この複雑な逆算も、Pythonを使えば比較的簡単に行うことができます。ここでは、数値計算ライブラリSciPyを使った方法を紹介します。

Step 1: 必要なライブラリの準備

まず、計算に必要なライブラリをインポートします。scipyは最適化計算(今回はIVの探索)に、numpyは数学的な計算に、scipy.statsは正規分布の計算に使います。

# pip install scipy numpy
from scipy.optimize import brentq
import numpy as np
from scipy.stats import norm

Step 2: ブラック・ショールズの計算式をコードにする

次に、先ほどのブラック・ショールズの計算式をPythonの関数として定義します。この関数は、ボラティリティ(σ)を入力すると、オプションの理論価格を返すものです。

Step 3: 市場価格との差からIVを逆算する

いよいよIVを計算します。 brentqという関数は、「ある関数(ここではbs_price_callで計算した理論価格と市場価格の差)の結果が0になるような入力値」を見つけてくれます。

つまり、**「理論価格 – 市場価格 = 0」となるようなsigma(ボラティリティ)**を探し出すのです。

def bs_price_call(S, K, T, r, sigma):
    d1 = (log(S/K) + (r + 0.5*sigma**2)*T) / (sigma*sqrt(T))
    d2 = d1 - sigma*sqrt(T)
    return S*norm.cdf(d1) - K*exp(-r*T)*norm.cdf(d2)

def implied_volatility_call(C_market, S, K, T, r):
    return brentq(lambda sigma: bs_price_call(S, K, T, r, sigma) - C_market, 0.0001, 5.0)

まとめ:IVは市場との対話ツール

インプライド・ボラティリティは、一見すると難解な指標ですが、その本質は「市場が将来をどう見ているか」というシンプルなメッセージです。

  • IVはオプションの市場価格から逆算される「期待変動率」
  • IVを見ることで、オプションの割安・割高や市場のセンチメントがわかる
  • 複雑な計算はPythonなどのツールを使えば誰でも実行できる

IVの計算方法を理解することは、オプションの本質を理解することに繋がります。ぜひこのツールを使いこなし、市場との対話を楽しみながら、より深い投資判断に役立ててください。

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この記事を書いた人

ボラティリティトレードを意識してオプショントレーディングのエッジを追求していきたいと研究の日々です。よろしくお願い申し上げます。

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